東京商工リサーチ、東証1部・2部上場メーカーの3月期「為替差損」調査結果を発表した。
調査は、東京証券取引所1部・2部に上場する主な電気機器、自動車関連、機械、精密機械メーカー(3月決算)を対象に実施された。
調査結果によると、2012年3月期に為替差損を計上したのは、全体の約6割となる246社で、前年同期に比べ、60社減少している。為替差損の総額は、1,224億4,000万円で、前年同期比1,803億500万円の減少となった。
為替差損を計上した246社のうち、差損額が最も大きかったのは、「任天堂(277億6,800万円)」。次いで、「スズキ(55億5,700万円)」、「三菱重工業(50億9,400万円)」となった。
一方、2012年3月期に為替差益を計上したのは、全体の2割となる78社で、前年同期に比べ、49社増加している。為替差益の総額は、865億2,700万円で、前年同期比98億1,500万円の増加となった。
為替差益を計上した78社のうち、差益額が最も大きかったのは、「トヨタ自動車(371億500万円)」。次いで、「日産自動車(147億5,600万円)」、「京セラ(45億3,300万円)」の順となった。
ちなみに、「為替差損」とは、例えば、円をドルに交換し、再び、ドルを円に戻したときに被る損失のこと。この場合、“円高”になれば「為替差損」が生じ、“円安”になれば「為替差益」が生じることになる。日本企業が外貨建て輸出をする場合も同様で、輸出契約時に決められる輸出価格の為替レートが輸出の合意後、輸出手形を銀行に提示し、代金を受け取る時点で、円高になれば、当然「為替差損」が生じることになる。
現在の状況は、円高を嘆いているというよりも、その変動の大きさに悲鳴が上がっているのかもしれない。投機性の高まりが、リスクヘッジをギャンブル色の強い作業に塗り替えたと見る向きもあり、「明日は我が身」と輸出企業の安定が担保されない日々が続くようだ。
株式会社東京商工リサーチリリース