株式会社帝国データバンクの調査によると、広告関連事業者の倒産が5月以降増えているという。東日本大震災の影響が色濃く出ているようだ。
倒産件数の推移
3月11日に震災があったが、その後すぐには倒産件数の増加はなかった。2月~4月の倒産件数は、前年度に比べ、3割~5割下回っていた。しかし、5月に入ってじわじわと影響が出てきたと思われる。震災当時の広告出稿キャンセルや広告掲出意欲の落ち込みが、広告事業者の資金繰りを悪化させたのだ。
資金繰りの悪化は、広告事業者だけでなく、周辺の印刷業者、イベントの企画・運営関連業者にも広がっており、今後倒産件数が増えると予想されている。広告関連事業者の6月10日までの倒産状態は11件。
震災の影響は2011年度通期の広告費にも及ぶ。日経広告研究所は、今年2月に予測した見込み(前年度比0.6%プラス)を前年度比5.1%マイナスに修正した。テレビスポットの見込みも、前年度を下回る見通し。10年度の3.6%プラスから2.9%マイナスに転じるとの見解だ。
ACの広告を見かける機会は減ったが、震災の復興と原発事故の処理の遅れが続く今、広告業界が元の状態に戻るには、まだまだ時間がかかりそうだ。
株式会社帝国データバンク