健康食品で体の不調を招く
2009年に厚生労働省科学研究班において実施された「自発性低血糖症の実態把握のための全国調査」において、「
自発性低血糖症」を発症した患者187名に対してアンケート調査が行われた。187名の患者のうち
16名が、α-リポ酸を摂取していることが判明した。
自発性低血糖症とは、薬物を使用しているわけでもないのに血糖値が下がるというもので、
重症化すると昏睡状態に陥る危険な病である。この原因はさまざまであり、その一つとしてα-リポ酸を摂取すると、インスリン自己免疫症候群(IAS)を発症するという症例がある。
α-リポ酸は体内でSH基を持つジヒドロリポ酸というものに変化するが、このSH基がIASを発症する原因となる。
これを発症した人の多くに特定の型をもつ白血球が存在しており、日本人の約8%がこれをもっている。表示通りに摂取したとしても早ければ2~3週間で発症し、
冷や汗・手足の震えなどといった症状が現れる。
なにごとも“過ぎたるはなお及ばざるがごとし”である。健康のためにと思っていたことが思いがけず体を傷つけることもありうる。もし健康食品や薬を服用していて体調に不具合が生じた場合は、自己判断せずにかかりつけの医師に相談することも忘れてはならない。
独立行政法人 国立健康・栄養研究所