東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野、同研究科運動学分野、加齢医学研究所老年医学分野などが、仙台市鶴ヶ谷地区で長年実施してきた生活調査の一環として、2002年に食事を含む生活状況に関する対面調査を行った。ついで2002年から2006年までの医療保険(社会保険診療行為請求)記録を元に、転倒骨折の発生を確認した。
同調査は、同地区に住む70歳以上の高齢者1,178名を対象とし、高齢者の食事内容を主成分分析という統計学の手法で解析し、各自の食習慣を推定し、食品毎、食習慣毎に転倒骨折の発生リスクを比較した。
具体的には、対象者を野菜食パターン、肉食パターン、日本食パターンの3種の食習慣について「よくあてはまる」、「ややあてはまる」、「あてはまらない」に分け、それぞれの転倒骨折リスクを比較したところ、野菜食パターンによくあてはまる者は、あてはまらない者に対し、骨折リスク(ハザード比)が2.7倍高かった。一方、肉食パターンにあてはまらない者の骨折リスクはその他に比べて2.8倍高かった。
高齢者の骨折発生率は他の年代より高く、骨折により動くことがおっくうになり、筋肉が縮んだり関節の動きが悪くなる恐れがある。特に大腿骨頸部骨折は、その傾向が強く、高齢者の内10~20%が転倒し、そのうち10%が骨折に至るとされている。
年齢により食の好みが変わってくるのは仕方のないこと。定説にとらわれず、食べたい物を食べるのがストレスにも効くのではないだろうか。
東北大学リリース