株式会社帝国データバンクは、「中小企業金融円滑化法」利用後に倒産した企業の動向調査を実施し、その結果を公表した。
調査結果によると、「中小企業金融円滑化法」を利用して返済猶予を受けながら、利用後に倒産した企業数は、2011年1月から8月までの累計で、101件判明した。負債総額は、732億3900万円となっている。
倒産原因別では、「販売不振(80件、79.2%)」が、2011年全体の約8割を占める結果となっており、また、倒産態様別では、「破産(83件、82.2%)」が、2011年全体の8割超を占める一方、事業継続を前提とする「民事再生法(18件、17.8%)」は、全体の2割足らずといった結果となった。
同法は、正式には「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」といい、中小企業の円滑な業務遂行や住宅ローン債務者の生活の安定等を目的として制定された。2011年3月31日までの時限立法となっていたが、2010年12月に、「同法に基づく開示・報告に係る事務負担の軽減や金融機関のコンサルティング機能がこれまで以上に発揮されるよう促すため(金融庁)」、2012年3月末までの一年間延長の措置がなされた。
延々と回復の兆しが見えない景気に対して、一向に効果的な対策が打たれない状況では、いくばくかの「延命策」は必要なのだろう。ただ今回、期限延長と引き換えに、金融機関のコンサルティング機能が重視されるようになったことから、企業には経営に対する意欲をより一層に示すことが必要となり、金融機関側には、その「さじ加減」の手腕を試されることになるわけで、「金融システムを守る」といった錦の御旗が、「倒産すべき」企業を一気に淘汰する状況に向かって、暴走する危険性もはらんでいるようだ。
株式会社帝国データバンクリリース