国民約7割が動画サイトを利用し、10代は半数以上が毎日利用
東京大学の濱野保樹教授が座長を務め、今年4月に設置された「動画サイトの利用実態調査検討委員会」は8日、動画配信サイトの利用状況調査や、音楽コンテンツのビジネスに与える影響などをまとめた報告書を発表した。国民の7割が動画配信サイトを利用し、視聴されるコンテンツは多くが音楽であることなどを挙げている。
報告書では、国民の約7割が動画サイトを利用しており、さらに国民の36%(動画サイト利用経験者の約半数)が動画サイトからのファイルのダウンロードを経験していること、ダウンロードされている音楽関連ファイルの多くが違法と考えられるファイルであり、音楽関連ファイルのダウンロード総数は年間12億に上ると推計されることなどが調査結果の特徴として挙げられている。
普段利用する動画サイトで最も多いのはYouTubeで、9割以上(Webが98.1%、郵送97.4%)が利用。次はニコニコ動画(同50.8%、32.7%)、GyaO!(同24.6%、13%)となっている。利用経験者の約半数が週1回以上使っており、10代は半数以上が「ほぼ毎日」利用しているという。平均視聴時間は全体で1日40~42分。
視聴する端末は9割以上(Web 95.7%、郵送98.8%)がパソコンであり、携帯電話(Web 23.2%、郵送14.2%)やスマートフォン(同8.7%、10.7%)はまだ低いが、若年層においては、これらの端末の割合も高い。
調査の結果、動画サイトは音楽の接触機会やニーズのマッチングを高め、個人やクリエイター等による作曲・編集・制作作品の発表の場となる事で積極的にメディアを利用するユーザー等の利便性が向上している傾向がみられた。
しかし、動画サイトからダウンロードされるコンテンツでは、「音楽関連映像(邦楽)」が最も多く、ダウンロード数は年間平均で63.4ファイル/人(Web調査)。「個人等による作曲・編集・制作作品」 (63.1ファイル/人)を除く商業的な音楽ファイルの合計は116.8ファイル/人となっており、動画サイトからダウンロードする理由としては、「いつでも好きな時に視聴したい」、「手元に保存しておきたい」との意見が最も多かった一方で「CD・音楽DVDの価格が高い」、「音楽配信の価格が高い」、「入手困難」といった理由も挙げられている。
動画サイトからダウンロードされたファイルのうち、違法ダウンロードと見られる商業的な音楽関連ファイル数(邦楽・洋楽)は、年間12.0億ファイルと推計された。違法ダウンロードと想定される行為は今後も増加傾向にあり、これらの動画サイトは音楽CDやDVDの購入、レンタル、有料配信への支出にはマイナスの影響を与えていることが推測され、報告書では
「音楽業界やインターネット業界をはじめとする関係者が、消費者に対して従来とは異なる新たな付加価値を提供できるサービスや商品の在り方を模索していくことが、音楽のクリエイティビティを最大化させ、それを消費者に還元していくための生態系を維持・進化させていくステップにつながる」と指摘している。
ダウンロードするだけでお気に入りの曲や映像をいつでも見ることが出来る、便利な反面そこには違法なサイトや詐欺の温床と化しているのも事実である。違法と知りつつダウンロードしたり、周りもしているから…と安易な気持ちで手を出すのはやめて、マナーを守って楽しく映像や音楽を利用してほしい。
なお、報告書の詳細な結果はHPで見ることができる。
一般社団法人 日本レコード協会